新潟県内は液状化しやすい?各地域の液状化リスクや液状化に強い家を建てる方法を解説!

2024年1月1日の地震は、能登半島を震源とし、新潟県内各地で液状化の兆候が見られました。特に新潟市では、西区を中心に地面の隆起や陥没が確認され、水や泥が噴出する事態が見られました。

この地震により、住宅が傾くなどの被害も発生しました。なお、このような液状化の被害は、1964年の新潟地震でも発生しています。

専門家は、地盤が細かい砂で緩やかに積み重なっていることや、地下水が砂丘に染み込んでいることなどを指摘し、「液状化しやすい地形や地質の条件が揃っている」と述べています。

液状化しやすい条件は?

液状化が生じやすい条件として、主に砂地盤であることや地下水位が高いこと、そして砂がふんわりと堆積してしっかりと固まっていないことが挙げられます。

言い換えれば、硬い地層の上に位置するか、地下水位が低く、標高の高い砂丘地では液状化が生じにくいと言えます。

新潟市は液状化しやすい?

液状化しやすい場所は新潟市西区だけではありません。「新潟」という地名の通り、新潟市はもともとは「潟」であり、沼や湿地を埋め立てた造成地など地盤の弱い場所が多くあります。

また、新潟市以外でもかつて河が流れていた場所や、盛り土の造成地、砂丘の縁などでも大きな揺れが起きると液状化現象が起こる可能性のある場所は多くあります。

液状化マップ 

地域別の概要は次の通りです。内容は国土交通省北陸地方整備局発行の「新潟県内液状化しやすさマップ」を基にしています。

新潟県の各地域の液状化リスクを解説

内容は国土交通省北陸地方整備局発行の「新潟県内液状化しやすさマップ」を基にしています。

【村上地域】

村上市街地は一部の造成地を除いて、液状化の可能性は低いとされています。胎内川と荒川に挟まれた地域では、砂丘沿いに危険度3のエリアが広がり、一部地域で液状化の可能性が高まっています。また、新潟地震の際の被害もこの地域で集中しています。JR岩船駅付近から七湊集落にかけても、液状化の可能性が指摘されています。

【新発田地域】

旧紫雲寺潟周辺には、液状化の可能性が高い地域が広がっています。新潟地震の履歴に加えて、古い時代の痕跡も見つかっています。加治川周辺の旧河道にも多くの液状化の履歴があります。福島潟周辺や阿賀野市の旧水原町周辺など、広い範囲で液状化が懸念されています。

【新潟地域・全域】

信濃川河口付近や通船川沿いには、液状化の可能性が高い範囲が広がっています。この領域は新潟地震の際にも液状化が起きた地域と重なっています。また、信濃川や阿賀野川の旧川の範囲とも一致しています。じゅんさい池周辺は砂丘地で、標高が高いですが、地下水位が高い可能性があり、液状化のリスクがあります。信濃川より西の砂丘地は標高が高く、地下水位が低いため、リスクは低いとされています。阿賀野川右岸では、かつての河川の蛇行部に高いリスクがあります。

旧黒埼町や小新、小針方面、鳥屋野潟、旧亀田町周辺などは宅地の造成地が広がり、液状化のリスクが高まっています。大潟、田潟、鎧潟などの旧湖沼地域も、液状化の可能性があります。

【燕・三条地域、五泉・加茂・田上地域】

信濃川本流や西川、中ノ口川の旧川の範囲に、液状化の可能性が高い部分が分布しています。大河津分水の上流側と下流側は、かつての川幅が広く、注意が必要です。大河津分水の分岐点より北側にかけては、広い範囲で液状化の可能性が高いエリアが広がっています。三条、燕、五泉の市街地では、宅地造成地の拡大により、液状化のリスクが増大しています。

【長岡地域】

盛り土造成された宅地が多い市街地は、液状化の可能性が高いとされています。市街地より上流側の信濃川両岸の段丘上は、本来液状化の可能性が低い地域ですが、人為的な要因によりリスクが増加しています。小千谷市街地には液状化の履歴がありますが、復旧作業によりリスクが低減しています。

【柏崎地域】

砂丘の標高が高いため、地区全体として液状化のリスクは低いです。ただし、砂丘の縁に当たる部分では地下水位が高く、人為的な要因も考慮されるため、リスクが高まります。市街地は盛り土造成の影響から、液状化のリスクが広がっています。

【上越地域】

高田平野は液状化の要因が少ない地盤となっています。しかし、直江津地区を中心に、宅地や工場の盛り土造成地が広がっており、液状化のリスクが高まっています。砂丘の縁に当たる部分でも地下水位が高く、液状化の可能性があります。

【糸魚川地域】

姫川の流域は液状化のリスクがほとんどありません。

液状化対策

液状化のリスクを把握するための実地調査は、土地の取得前に行うことができません。そのため、購入前にはハザードマップや土地の形成過程、地形に関する事前調査が重要です。また、取得した土地が軟弱地盤である場合の対策についてもご紹介します。

液状化が起きにくい土地を選ぶ

地形区分では、山地や台地などが液状化が起きにくい土地とされています。これらの地形は比較的古く硬い地盤で形成されており、安定した土地を選ぶことが重要です。

土地の調査を行う

購入前の調査には、ハザードマップの活用が役立ちます。国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」では、地形区分に基づく液状化の発生傾向を確認できます。埋立地や旧河道、干拓地、自然堤防などの地域では、液状化のリスクが高まる傾向があります。同様に、「重ねるハザードマップ」では航空写真を通じて過去の土地利用状況を確認でき、旧河道や沼地、埋立地などの特徴を把握できます。また、各自治体から提供されるハザードマップも、震度や液状化の予測情報を提供していますが、地盤改良の実施状況などを考慮する必要があります。

地盤改良の検討

液状化が懸念される土地でも、地盤改良を行うことでリスクを軽減することができます。主な工法としては、砂を圧入して地盤を固める方法や、薬剤を注入して地盤を固結させる方法、ポンプで地下水を汲み上げて地盤の浸水を抑制する方法などがあります。これらの工法は、「ゆるい砂地盤」の特性に合わせて選択されます。

建物の設計を検討する

地盤の液状化を防ぐためには、建物自体を液状化に強い設計にすることも重要です。建物の重心が偏っていない形状や、べた基礎の採用などが有効です。べた基礎は地盤への負荷を均等に分散させる効果があり、地盤の不同沈下を抑制します。また、適切な配筋やスラブ厚を考慮することで、地盤改良を施さずとも被害を軽減できる場合があります。

地盤の状況や建物の条件に合わせて最適な対策を検討しましょう。

注文住宅を建てる前に!新潟市ってどういうところ?

新潟市は、古くから「みなとまち」として栄えてきました。明治22年に市制が施行されて以来、近隣の市町村との合併により人口は約81万人となり、平成19年4月1日には本州日本海側で初めて政令指定都市に指定されました。

整備された高速道路網や上越新幹線により首都圏と直結しており、国際空港や国際港湾も有しており、本州日本海側の拠点都市として高い都市機能を備えています。

一方で、広大な越後平野は、農畜産物の一大産地であり、米や野菜、果物、畜産物、花き類などが生産されており、また日本海側に面し、信濃川・阿賀野川の両大河や福島潟、鳥屋野潟、ラムサール条約登録湿地である佐潟など、多くの水辺空間や里山などの自然環境にも恵まれています。

そんな新潟市で、注文住宅を建てるときに気になる住環境を気候、利便性、治安の良さ、3つの視点からお伝えします。

気候

日本海と聞くと、冬の荒々しい波と曇り空というイメージが強いかもしれませんが、新潟市は関東以北の政令市の中では比較的温暖であり、冬の寒さも北海道ほど厳しくはありません。

平均気温が零下になる月はなく、東京とほとんど変わりません。

さらに、日本海を北上する暖流の影響もあり、仙台市や周辺の内陸都市と比較しても、年間平均気温が高いといえます。

利便性

新潟市の中心に位置する新潟駅には、上越新幹線やJR越後線、JR白新線、JR信越本線、JR磐越西線といった列車が乗り入れています。上越新幹線を利用すれば、最速で約1時間40分で東京へアクセスできます。また、駅前からは池袋や新宿へ向かう高速バスも運行されており、所要時間は約5~6時間ほどです。夜行便も利用できるため、早朝に東京へ行きたい場合には便利です。

また、新潟空港からは成田空港への航空路もあり、所要時間は約1時間5分ほどです。新潟空港からは名古屋や大阪、神戸、福岡、沖縄(那覇)、札幌、ソウル、上海、台北などへも直行便が運航されています。

治安

新潟県警の犯罪統計によると、2021年の新潟県内での刑法犯発生件数は7,746件で、そのうち新潟市での発生件数は3,238件で、約42%を占めています。2021年末時点での新潟市の推定人口は約78万人であり、新潟県全体の推定人口は約217万人です。そのため、新潟市の犯罪率は県内のほかの地域に比べてやや高めと言えます。ただし全国的な観点で見ると、2021年の人口1万人あたりの犯罪認知件数の全国平均は約45.2件ですが、新潟市は約41.5件と全国平均を下回っています。したがって、特に新潟市の治安が悪いとは言えません。また、新潟市内の犯罪発生状況を見ると、中央区が最も件数が多く、1,071件となっています。他の政令指定都市と比較すると、2019年のデータによれば、新潟市の1万人あたりの犯罪件数は62.9件で、政令指定都市20市の中では8番目に少ない数字となっています。